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子らも知る 文化の源

 ギリシャ・アテネのアクロポリスの美術館は、光が直接降り注いできます。大理石の彫像がバラ色に輝き、そのまま「ギリシヤ神話」の世界に誘われます。私自身、娘の懐妊を自覚したのは「デルフォイの神託」で知られるアポロン神殿で、天から授かった娘と思い、デルフィーヌと名付けました。

 ある年のバカンスで、パリからギリシャに旅立つ孫たちに「遊園地ばかりじゃなく、パルテノン神殿に連れていってもらいなさいね」といった私に、7歳になった孫息子が「それ、ゼウスの娘、アテナをまつった神殿でしょう」と即答して驚きました。フランス文化も元をたどれば、古代ギリシャに行き着きます。幼いときから古典を学び、人間のルーツに興味をもち、多くの人が教養を共有することで世界が広がり、個の力も強くなるように思います。

 いま、日本はつらく苦しく、並大抵ではない、困った立場にいます。古代アテナイに集った神々が織りなすさまざまな叡智。愛や執念、やさしさや悪さえ渦巻く、人間の底知れない力が、東北に、ひいては日本中に宿ることを、心から祈ります。

<俳優・作家 岸惠子さん>

~<「文化の扉 はじめてのギリシャ神話」朝日新聞(12.3.12)>より~

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